── パスワードの強度▼パスワードの更新申請 先日、区役所からマイナンバーカードで使用している電子証明書用の暗証番号(パスワード)の更新を促す書類が届いた。 マイナンバーカードを作ってから5年が経とうとしている。国の定めた規則では、カードを作成した日から数えて5回目の誕生日の前までに更新手続きをしないとパスワードが使えなくなると言う。ただ、パスワードは使えなくてもカードだけを使うのは許されている。 マイナンバーカードには次の4種類のパスワードがある。 (1)署名用パスワード(英数字6~16文字) (2)利用者証明用パスワード(4桁) (3)住民基本台帳用パスワード(4桁) (4)券面事項入力補助用パスワード(4桁) (1),(2)は電子証明書で使われるもので、今回はそれが失効するらしい。私は、自動車の運転免許を(期限切れを利用して)自然放棄して以来、身分証の代わりになるものが欲しくて2017年にマイナンバーカードを作成した。以来、映画館や美術館などで入場する際に利用させてもらっている。 しかしこの間にパスワードを使ったのは特別定額給付金を申請したときの一度だけである。高齢者の私めがパスワードを今後も必要とするかどうか慎重に考えた末に、やはり更新しておくことに決めた。何事にも想定外のことが突然起こる世の中であるからして、もしかするとまた給付金を貰う必要が起こるかもしれない、と卑しくも(?)先読みをした訳ではない。 実は、最初にパスワードを設定したときに生じた疑問を、この機会を利用して明らかにしておきたかったのである。 ▼5年前のこと 5年前にマイナンバーカードを作成したとき、初回だったので私は区役所にカードを受取りに行ったのだが、区役所の入口のホールにはマイナンバーカードを受け取りに来たと思われる人々でごった返していた。入口で番号をもらい、その番号の呼び出しを待つ方式なのでさすがに長い行列はなかったが、座るところがない人はただ立って待つしかない状態になっていた。今日は大変な日になるなと私は思ったのを覚えている。 2時間以上待ってやっと自分の番号が呼び出しの掲示画面に表示された。窓口付近に行くと、最初だから全員が専用の端末(数台しかない!)の前に座って自らパスワードの設定作業をやらされていたのである。なるほど、これでは待たされる訳だ。 やっと私の順番になった。数少ない端末の一つに座って私はあらかじめ郵送されてきた「個人番号カード・電子証明書 設定暗証番号記載票」という用紙に記入しておいた通りにパスワードを設定しようとした。すると担当者は「英字はすべて大文字にしてください」と言うではないか。意外であった。パスワードを作るときの常識として、英字(大文字と小文字)と数字を混ぜて構成するのが推奨されている。更に特殊記号が使えるとなお良い。私は担当者に大文字に限定する理由を聞きたかったのだが、会場が異様に混んでいたので自重した。 私は指示にしたがって小文字で設定する積りだった文字をすべて大文字にしたのである。帰宅後、忘れないようにと暗証番号の記載票に大文字の英字と数字だけで構成したパスワードに書き換えて、更に事の顛末をメモしておいたのである。 その後、このときのことを思い出す度に、あれは担当者の勘違いだったのではないかと思うようになった。大文字と数字しか使えないなどということはあり得ないことだ。 しかしその後、それを疑問視したり不満を表明したりする人に一度も出会ったことが無かったから、私は、これは担当者の勘違いだと確信するようになった。今度機会があったら小文字も可能であることを確認し、パスワードの変更をしてもらおうと考えていたのである。 ▼マイナンバーカードの弱点 やっと、5年振りにその機会が訪れたのである。私は窓口で担当者に提出書類を渡しながら聞いてみた。すると担当者はパスワードの変更はできますが小文字は使えませんと言うではないか。5年前の担当者の言葉に間違いはなかったのである。小文字が使えないのなら敢えてパスワードを変更する必要はない。更新だけにしよう。 仕方なく私は、更新手続きのみをすることにして端末の前に座ったのである。既に画面には本人確認に必要な(2)のパスワードを入力する場面になっていた。それを入力して画面を見ると、 0から9までの数字を四角で囲んだものが10個、 AからZまでの英字を四角で囲んだものが26個 が整然と並べられ表示されていた。 それを見て、私はなるほどそういうことなのかと合点がいったのである。たった36個の字種しか使えないようにしてあったのである。使える字種の数が少なければ、それだけ設定時のミスは少なくなる。使うときのミスも少なくなる。これは明らかに私のような高齢者にも扱い易くするための配慮だったのかもしれないと考えた。高齢者にも優しいシステムを構築するためなのであろう。 しかしこれでいいのだろうか。大文字・小文字の区別を許せば字数は増える。字数を増やせば文字の組み合わせの数は飛躍的に増える。パスワードの安全性も飛躍的に高くなる。特殊記号を許せば更に安全性は高まるに違いない。 このシステムは、おそらく高齢者を意識して使える字数を絞ったのだろうが、それは取りも直さずパスワードの安全性を犠牲にしたことになる。カードさえ手に入れればパスワードを破るのは比較的簡単になるであろう(*1)。今後、悪用されるケースが増えていくのではあるまいか。 【注】(*1)パスワードの強度は普通5段階で評価されることが多いが、これは最低レベルの強度である。防衛策としてできることは、長いパスワードにすることしか方法がない。高齢者にとっては、無意味にも思われる長い長い文字列を記憶するのは更に大変なことである。決して高齢者に優しいシステムとは言えなくなる。 国は、健康保険証などもマイナンバーカードに統一することを考えているようだが、そのベースとなるマイナンバーカードのパスワードの仕組みが脆弱であるとすれば、日々の生活で安心して使えないことになる。多機能化するのは危険であろう。 今回のパスワードの更新手続きの際に担当者に言われたのだが「更新後24時間はパスワードを必要とする目的では使えません」とのことであった。リアルタイムで更新されないのであれば増々我々の日々の生活に影響することになる。早急の改良が望まれる。 |
2021年4月1日木曜日
マイナンバーカードの弱点
2021年3月14日日曜日
今だから話そう「『ソフトウェアの法則』の裏話」
── 私の「記憶の引出し」からコロナ禍の中で家に引き籠っていると、外部からの刺激が少ないせいかエッセイのネタがさっぱり浮かんできません。そんなとき古い資料を整理していると(“整理”と言うと聞こえは良いが、単に引っ掻き回しているだけなんですが)、昔書きたいと思ったが結局は書かないままにしてしまったテーマや出来事の数々が思い出されてくるのです。 そして、捜している資料が運よく見つかったりすると、それを読み始めて止まらなくなってしまうのです。そんなときは必ず若い頃の気持ちに戻ってしまい、私の“記憶の引出し(*1)”をフルに活用すれば、何か書けそうな気がしてくるのです(困ったものです)。そして体力が続くかどうかも考えずに年甲斐もなく厄介な仕事に挑戦してしまうのです。文章を書くことはボケ防止にもなるからと自身への言い訳に利用しているのです。 【注】(*1)「記憶の引出し」については、別途紹介することにします。 古い資料の中から偶然見つけたのですが、以下に示すような社内掲示板に載せた記事(program)の控えを発見しました。 先ず、これが掲示板の読者に向かって私が何を伝えようとしたかを読み取ってください。冒頭の日付が『ソフトウェアの法則』という本の発売日になっている点がヒントになるかもしれません。
プログラムとは、自分の意思(プログラムの内容)を人やマシンに伝えるためのものですから、伝わりさえすればどんな言語で記述されていても構いません。ここでは英語風に書いてみました。誰にでも大体の意味は分かるだろうと思います。ただ、読む人が理解したいと熱意を持って努力するかどうかで理解度も変わってくるものです。 ▼プログラムの意味 前出の“program”は、実は発売したばかりの『ソフトウェアの法則』という本を「希望者に贈呈しますよ」と伝えるための掲示だったのです。しかし『ソフトウェアの法則』という本のことを知らない人が多いと思いますから、先ず、本が作られた経緯から説明することにしましょう。 この本が出版された(1995年)当時、世間では「パーキンソンの法則」とか「マーフィーの法則」とかが有名でした。私はコンピュータのソフトウェア開発の分野で仕事をしていましたから、“ソフトウェアの法則”があっても良いのではないかと考え、ソフトウェアに関するエッセイを書き上げるとその最後の部分に、関連するテーマで“ソフトウェアの法則”の新作を添えるようになりました。 ▼掲示板へのこだわり そのときエッセイを投稿していた場所が実は全社的に活用されていた社内掲示板だったのです。いろいろな掲示板が作られていましたが、私が主に活用していた“vox”(ラテン語で“声”の意)という名の掲示板にはコンピュータ関係の情報が掲示されていましたから多くの参加者がいる特に活気のある掲示板だったと思います。ここで私は、コンピュータのソフトウェアに関する投稿を通じて多くの仲間から鍛えられてきたのです。 その結果として生まれた本ですから私は「掲示板」にこだわりたかったのです。たとえば、章番号の1,2,3‥‥は、掲示板Ⅰ, 掲示板Ⅱ, 掲示板Ⅲ‥‥ と表記されています。最後の「あとがき」の後ろに置かれた“ソフトウェアの法則集”は「特定掲示板」と命名され裏表紙の方から表表紙の方へ向かって読むように工夫されていました。しかし、こういった掲示板にこだわった造りに気が付いた人はいなかったようです。 そうやって書き溜めたエッセイと法則集とを一冊の本にまとめて出版することになったとき、私は、密かに書名を“ソフトウェアの法則”にしたいと考えました。同時に掲示板上で知り合っていろいろと協力してくれた方々にその本を贈ることができたらいいなぁと思ったのです。 多くの技術者が見る掲示板ですが、特にプログラミングに関心のある方々を選んで贈呈するにはどうしたらよいか、といろいろな方策を考えました。そしてプログラムを記述するプログラム言語と同じようにアルゴリズム(論理)を使って私の意図を program 上に詳細に記述してみたのです。 出版された日の午後、私は会社の休憩時間になってからこれを掲示板上にアップしたのです。 このプログラムで私が何を伝えたかったのか、プログラミングに関心のない方でもある程度は理解してもらえたのではないかと思います。いかがでしたか。 実は、本のタイトル(書名)を“ソフトウェアの法則”とするに当たっては大きなリスクを抱えていたのです。 当時書き留めていた“出版までの記録”(以下に示します)が残っていたので、それに沿って説明することにします。「ソフトウェアの法則」という書名を思い付いたのは原稿を出版社に渡す前のことですが、正式に出版社から決定通知をもらったのは 1995-8-25 のことでした。 ![]() 出版までの記録 出版の初期の段階から発行されるまでの8ヶ月間、このタイトルが他の出版物で使われてしまう可能性があるので心配していたのです。特に正式に書名が確定してからの2ヶ月間はストレスは相当なものでした。もし他の本で使われてしまったら書名の変更が必要になります。代わりとなる適当なタイトルは思い浮かびません。出版予定日の前日(1995-10-24)の夜になって、私はやっと「これで大丈夫だ(!)」という確信を持つことができたのでした。 そこで気が大きくなったのでしょう、お世話になった社内掲示板の仲間たちに贈呈する計画を実行に移すことにしました。単に「本を贈呈をする」と言うよりも私の「ソフトウェアと〇〇」という一連のエッセイの読者でプログラミングに関心のある方に贈りたいと思って工夫をしたのです。 program に書いた通りに10名を決定しましたが、締め切り後に2名の方が欲しいと申し出てきたので、結局12名の方々に贈呈することにし社内便で発送しました。 ところが、実は最近までずっと12名の方に贈呈したと思い込んでいたのですが、この文章を書きながら念のため過去の記録を調べてみました。すると驚いたことに14名に贈ったという記録が出てきたのです。当選者の名前と社内便の発送日時から考えて、どうやら以下のようなことがあったと解釈しました。 program の解読に成功し、かつ細かい応募条件を満たして「本が欲しい」と伝えてきた人は予想外に少なかったのです。最終的に応募者は12名となりましたが、2名だけを当選外とするのは気の毒になってしまいました。結局12名全員の当選にしてしまったのだと思います。その後で、締め切り後の応募が2名あったというのが実際のところだったようです。社内便での発送日の違いからそのように解釈しました(人の記憶などというものは本当にあてになりませんね)。 当選のためのルールを勝手に決め、その挙句に勝手に変更しているのですから世話がありません。約束通りにできなかったことを申し訳なく思っています。 後で知ったことですが、同じ東芝グループの会社間でも社内便が使えない事業場があるのだそうです。最初から応募を諦めて“goto BookStore;”に従って書店に走ってくれた方々がいたことも知りました。応募者の数が少なかったのは、多分そのためかもしれません。重ね重ね申し訳ないことでした。 「本の虫」と言うと、それは四六時中本を読んでいるような読書の好きな人のことですが、書物に取りつく“シミ”や“シバンムシ”などの本当の虫を指す場合もあります。しかしここで言う“本の虫”とはコンピュータの虫(バグ)のようなものを指しています。つまりプログラムのバグと同じで誤植のことです。 発売前に十分な校正作業を行って誤植のない状態にするべく努力するのですが、初版の段階ではいろいろな虫が発見されることが多いのです。この本も例外ではなく、残念ながら出版後にいろいろなバグが出てしまいました。それも私のミスで生じたとんでもない虫を発見してしまったのです。 発売直後のことでした。家で何気なく本のページをパラパラとめくって見ていたときに突然気が付いたのです。「ソフトウェアと環境」の章で使った挿絵に間違いを発見したのでした。この章で私は、コンピュータの開発環境について書いているのですが、その中で日本の家屋が狭いことを欧米人が兎小屋“rabbit hutch”と揶揄していることに触れました。そのため挿入したカットが以下のものだったのです。
( 修正前の挿絵 ) このカットを描いたとき、止せばよいのに表札を描いて“Rabit”という名前を書いてしまったのです。何気なく見ていて突然気が付いたのですから、普通なら自慢したい(*2)ところですが、その瞬間の私は背筋が凍り付くような想いでした。 【注】(*2)プロのプログラマになると、他人の書いたプログラムリストをチラッと見ただけでバグを見つけてしまう名人もいるのです。恥ずかしい。どうするか? こんなみっともない状態を放置することはできません。私は出版社に電話して挿絵の入れ替えをお願いしました。それが“出版までの記録”の日付 11-02 の場所に記録されています。 幸い、出版社は挿絵の入替えを許してくれました。修正されたカットは早速出版社に送られ二版以降は修正されています。修正版は私のウェッブ上の“美術館”の中に『「ソフトウェアの法則」で使った挿絵の原画集』として飾られていますが、この挿絵の原画だけはその後行方不明になっています。飾られている修正版は二版以降の印刷物からコピーしたものです。興味のある人は比べてみてください。 【追記】 ▼なお、2001-11-23 以降は『ソフトウェアの法則』は、電子版として読むことができます。 ▼『ソフトウェアの法則』の正誤表は、以下の場所で見ることができます。 http://www.hi-ho.ne.jp/skinoshita/seigohyou.htm |
2021年2月23日火曜日
今だから話そう「幾何の問題 後日談」
── いろいろな“解答”が届きました“今だから話そう(4)”で「幾何の問題・正解集…」を紹介しましたが、例の幾何の問題の公表後 私の所に送られてきた“解答”なるものの幾つかをここで紹介したいと思います。かなり前のことになるので、私めの“記憶の引出し(*1)”をフルに活用する必要がありそうです。 【注】(*1)「記憶の引出し」については別途紹介します。 問題自体は一見易しく見えるので「5分で解けた」と誤解する人が多いのですが「2分も掛からなかった(!)」という超短時間で解けたという報告が届きました。ただ、届いたのはメールの文章で以下の2行だけで証明そのものはありませんでした。
以下は、それに対する私の返信です。
その後、20数年が経過しましたが未だ何の音沙汰もありません(*2)。多分勘違いだったのでしょう。 【注】(*2)この解答者は、Webメールを使っていたので今では連絡が取れません。それにしても高校3年生(当時の)が挑戦してくれたのは嬉しいことでした。解答なるものを見せてもらえなかったのは残念ですが。 もっとも「5分で解けた」という類いの報告では、その後解答が送られてきた事例はありません。音信不通になるのはいつものことなのです。多分、解けたと勘違いし証明を書くことすらしなかったのでしょう。 テストに限らず問題が解けたと思ったら先ず証明を書いてみることです。その間に自分の勘違いに気付いたかもしれません。そして最後に日時と自分の名前を記しておくことが大切です。これでは、テストの問題が解けたのに、白紙のまま名前も書かずに答案用紙を提出するようなものです。 聞くところによると、高名な数学者のもとには「未解決の難問を証明した」と称する郵便物がよく届くそうです。そういうとき、受け取った先生は内心後ろめたさを感じながらも、そのままそっくりゴミ箱に捨てるのだそうです。もしかすると、それまで誰も思い付かなかったような方法で正しく解かれていたかもしれませんが、その可能性はほぼゼロに近いでしょうから読むのは時間の無駄なのです。妥当な判断だと思います。 しかしこの問題はそんな未解決の難問ではありません。私も偉い学者ではありませんから、送られてきた解答はすべて目を通すことにしています。そして解答を読んでから感想を述べたかったのですが、残念なことでありました。 次の例は、普通郵便の封書で送られてきたものです。現在では、その文書そのものは手元に見当たらないので記憶だけを頼りに書くことにします。 手紙はフルスカップ(*3)に手書きされたものでした。学生ではなく私と同年配の人のように思われました。 【注】(*3)フルスカップとはレポート用紙のように1枚ずつ切り離せる用紙で5ミリほどの間隔で横罫線が施されているものです。罫線はコピーすると見えなくなるので便利です。用紙は薄くて書きやすいので大学時代のレポートはこれに書いて提出することが多かったと記憶しています。証明には一部不明確な所があり(私には少し論理の飛躍があるように思えた)、数回のやり取りで手直しが行われ最終的に正解ということになりました。 この間、私はフルスカップに手書きされた文面を眺めながらこの解答者はどういう方なのかと考えていました。フルスカップは大学ごとに作られていることが多いので大学名が印刷されていたり、大学のマークの透かしが入っていたりします。仔細に観察するうちに私は大学名を判別できてしまったのです。どうやら解答者は大学の関係者のようでした。多分、大学の先生かもしれません。そう思うと私は急に心配になってきました。今まで何度か手紙のやり取りをしてきたので失礼が無かったか、保存してあった手紙のコピーを読み返すことになりました。 幸い、普段から社内の電子メール環境のもとで文章作成では鍛えられていましたからミスはなかったようです。社内の掲示板上で交流のある方々は、お互いに地位も年齢も顔さえも知らない場合が多いのです。普段からどんな人とでも同じ文体で礼儀正しい言葉遣いで文章を書くようにしていましたから、相手が企業人だろうと先生であろうと、あるいは学生や子供だろうと常に同じ調子で書いてきました。特に問題となりそうな表現はなかったのでホッとしました。 ただ、最初に名前を見たときからどこかで見た名前だなとは思っていました。どこかでお会いしている人かもしれません。大学名が分かった時点で「もしや‥‥」と思っていたのですが、私は1年程前に求人のためこの大学を訪問していたのです。そのときの記録を確認すると、間違いなく当時お会いした就職担当だった教授の名前であることが分かりました。 早速、私は気がつかなかった失礼を詫びる手紙を先生に書いたのですが、先生の方は先刻承知の上で何も触れずに問題の解答を寄せられたのだと思っていました。しかし先生からの返信によると、先生自身も気が付かずに手紙を書いていたことが明らかとなりました。珍しい経験をしたものです。 東芝社内の方からは敗北宣言のメールが届きました。それを受けて、私が掲示板に載せた報告が以下のものです。
読者からは「絶対に自分で解きたいから公開はしないで欲しい」と言われているとこれまで公言してきましたが、現在ではそれをどこで読んだかは思い出せません。「本当かよ?」と疑われないよう証拠を示しておいた方が良いと考えました。 そこで試しに、メーラー上で「公開しないで」をキーにして検索したところ、以下のものが引っ掛かりました。私信なので一部だけ切り取って紹介します。全面紹介するには、本人の了解を得る必要がありますが、現在は連絡が取れない状態なのです。心当たりの方は連絡を頂けると有難いのですが。
私の他の投稿に対するコメントをメールで頂いたのですが、「私信:伏せ字 と 雑談」というタイトルで、その中に書かれていたものでした。日付は「Date: 11 Dec 1995 14:08」となっていました。 周知の通り、既に正解集は公開されています。期待に応えることができず申し訳なく思っております。 |
2021年2月17日水曜日
トランプ・ニュース?
2021年1月16日土曜日
今だから話そう「幾何の問題 正解集の公開」
── 幾何の問題・正解集の公開以前、拙著『ソフトウェアの法則』(中公新書1270)で、ある幾何の問題を取上げたことがありました。高校時代に授業で出された難問で「5分で解けた」と誤解する人が多いのですが、未だ5分で解けるような平易な証明は発見されておりません。 その際に作られた正解集を、今回ネット上に公開することにしました。以下では、そう決意した背景を説明したいと思います。 ・ネット上への登場:(1994年) 最初にこの幾何の問題を取上げたのは1994年の1月24日のことです。東芝社内のイントラネット上にある電子掲示板(vox)に「ソフトウェアと記憶力」というタイトルのエッセイを掲載しました。この中で私は、問題の詳細には触れぬまま唯ある難しい幾何の問題に出会ったこと、そしてその問題に関連して私の周辺で起こった出来事を中心に紹介したものでした。 東芝の技術者の多くが利用していた掲示板だったからでしょうか、直後から「どんな問題ですか?」という問い合わせメールが多数寄せられました。ここで初めてその幾何の問題の詳細が公になった訳です。その後「ソフトウェアと記憶力」が掲載されている『ソフトウェアの法則』という本が発売(1995年)され、一般にも知られることになりました。 後にエッセイの方は、掲示板からイントラネット上の個人ホームページ上に掲載され、更にインターネット上の個人ホームページ創設を機会に、関連する情報が同様に転載されるようになりました。これ以後、関連情報を書籍で知った読者から、あるいはインターネットで知った利用者から「問題の解答」なるものが寄せられるようになったのです。 今までに証明に成功したのは(出題者の私を含めて)6人ですが、複数の解を提出した人もいるので全部で9つの解法が存在しています。この間、正解者にはこれまでに判明したすべての解法を含む正解集を配布してきました。しかし時が流れるに連れて、その正解集の文書ファイルの保存と継承が(特に図を含んでいるため)難しくなってきました。 ・1回目の変更:(1997年) そこで正解集をウェッブ上に保存することにしました。しかしまだ正解に到達していない方々からは「絶対に正解の証明を公開しないでほしい」という要望が出されていました。あくまでも自分で解きたいということなのでしょう。そこで正解者のみがアクセスできる形にして公開することにしました。“秘密の”正解集への入口は私のホームページの【超極秘欄】を開くと、下から13番目の項目[幾何の問題・正解集]からアクセスすることができます。その中の【正解集へ】から先は(正解者のみが保持する)パスワードが必要になります。 ・2回目の変更:(2021年) こうして20数年が経過しました。私めは、そろそろ自分のホームページの終活に取り組まねばならない年齢に達したのです。このまま放置しておくと正解者(今では連絡の取れない方、故人となられた方もおります)以外には誰も“正解”を知らないという状態になるのは明らかでしょう。そのうちに、果して正解だったのか? と疑問を持つ人も現れることでしょう。そして何より困るのは、私が管理できなくなるとホームページの使用権がなくなって、プロバイダーによる強制削除でホームページそのものが消滅してしまうことになります。 そこで、次の策を講じることにしました。 (1)誰もがアクセスできる場所に正解集を置く。 (2)従来の“秘密の”正解集はそのままとする。 (3)これまでの経緯を記録として残す。 ここで、 (1)はホームページ(*1)上とブログ(*2)上に置きます。 (2)はホームページ上に残します。 (3)は、今書いているこの文書そのものですが、出来上がり次第ホームページ上とブログ上に保存します。ホームページの消滅時には(2)は失われますが、(1),(3)はブログに残されることになります。 【注】(*1)ここで、ホームページとは、 ところで「ソフトウェアと記憶力」をここで読んでもらいたいのですが、残念ながらは『ソフトウェアの法則』の出版に合わせてホームページ上からは削除されました。原文のテキストが存在しないので書籍の該当ページを写真に撮り、それをこの欄に表示する積りでいました。しかし実際にやってみると、文章が縦書きになるのでパソコンの画面では読み難いことが分かりました。
『ソフトウェアの法則』から 「ソフトウェアと記憶力」 書籍を見ながら再度パソコンに入力するのは何んとも馬鹿らしいので、いろいろ悩んだ末に昔電子掲示板に投稿したときのメールを利用すればよいことに気が付きました。当時の掲示板上での議論、あるいは個人のメール交換でいろいろと議論したことはすべてメール形式でそのまま保存されているのです。それを以下に掲載することにしました。初稿原稿(原文)ですから書籍として出版されるまでに手直しされた部分があり、それらは完全には反映されていませんから、多分どこかに相違はあると思います。
【以下は、書籍に書き加えたもの】 <追記> ここでふれた幾何の問題について、「どんな問題か教えてくれませんか」という問い合わせが電子メールを通じて寄せられた。その問題とは、次のようなものである。 「三角形ABCにおいて、∠Bと∠Cの二等分線が辺AC、辺ABと交わる点をそれぞれD、Eとするとき、BD=CEであるという。このとき、三角形ABCは二等辺三角形であることを証明せよ(つまり∠B=∠Cを証明せよ)」 私はこういう状況になるのを、実は一番に恐れていたのである。この問題を尋ねられ、問題を公開したら「なんだ、簡単じゃないか」とすぐ正解が送られてきたらどうなるか。自分の数少ない自慢話(いまやそれが怪しくなってきている)の一つが完全になくなってしまうからである。他人に教えられて「なるほど、そうやって解くのか」と感心している自分を想像するのは大変辛いことである。 しかしその後、この問題を電子メールシステムの掲示板で公表してからほどなくしてなんとか自分で解くことに成功した。問題に挑戦した人の数は定かではないが、解けないという苦情、奮闘報告、正解を教えてくれという要請、五分で解けたという誤報(?)などが多数寄せられた。最終的に正解となったのは三人の方から寄せられた四つの解法であった(一人で二つの解を寄せられた方がいた)。出題者としての解答と合わせて五つの解が集まったことになる。いずれも異なる解法ばかりで、いろいろな解き方があるものだと感心した次第。これを見るとどれも五分程度ですぐ解けるという解法ではない。「五分で解けた」と報告をくれて以来音沙汰がない方々は多分勘違いだったのであろう。しかし「五分で解ける」未知の解がある可能性はまだ残されている。貴方(女)も挑戦してみませんか。 <追記 終り> 1991 22億6千万桁 (コロンビア大学) 1995 32億2,122万桁(東大 金田) 2020 50兆桁 Timothy Mullican seikaishuu3.htm blog-post.html |
2021年1月15日金曜日
今だから話そう「幾何の問題・正解集」
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[提示問題とは]









証明:これを直接示す代わりに、対偶の ∠B≠∠C ⊃ BE≠CF を示す。
一般に三角形ABCで、次が成り立つ。

一般に三角形ABCで、次が成り立つ。
点EよりBCに平行な線を引きACとの交点をFとするとき、点Fの位置は、次のいずれかとなる。
△ECBと△DBCにおいて、二辺の長さがそれぞれ等しく∠DBC>∠ECBであるから
点DよりBCに平行な線を引きABとの交点をGとするとき、△GBDと△FECはともに二等辺三角形で底辺の長さが等しいから、内角(たとえば∠GBDと∠FECとを比較して)の大きい方が斜辺の長さも大きくなる。したがって、